デジタルコンテンツエキスポに参加

10/27は、日本科学未来館で開催されていた「デジタルコンテンツエキスポ2012」に参加しました。

(去年の参加記録はこちら http://d.hatena.ne.jp/takeim/20111022
いわゆる、経済産業省の「COOL JAPAN」という日本のコンテンツ文化・産業を発展させて海外への展開を応援しようという企ての一環のイベントです。

大学や研究所、各企業が創意工夫したメディアアートデジタルガジェットが数多くデモされて毎年楽しみです。
今回はデモだけでなく講演も聴講しました。


講演

「ニコニコ学会βは何を変えようとしているのか」

ニコニコ動画に集まった研究者、社会学者、技術者が中心となって最近出来た新しいタイプの学会の紹介。

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デモ、プレゼンを中心として、人々をあっと驚かせて感嘆させる最新研究を紹介する「研究100連発」。デモの内容もさることながら、人を飽きさせないプレゼンの技術も特筆です。
中でも明治大の宮下先生は3年前のAR研究会でお名前を知り、 ARやVRの技術とユニークな研究とそのプレゼン力でそれ以来気になっていたのですが、やはりニコニコ学会でも存在感があります。

ニコニコ学会の内容はニコニコ生放送の録画で今も見ることが出来ます。
http://live.nicovideo.jp/watch/lv72478844
12/22に第三回のニコニコ学会が開催されるそうなので、参加する予定。

Vocaloid Trans-Pacificプロジェクト

ヤマハ音声合成ソフトである「Vocaloid」の国際展開が、総務省 Cool Japan プロジェクトに採択され、その企画内容について関係者からのプレゼン。
今後、英語ネイティブのグミッポイドをリリースするそうだ。日本語だと語素は500程度だけれど、英語になると数倍になり録音もたいへんだったそうだ。

ボカロの国際展開というと、初音ミクというキャラクターやボカロを使った創作活動を意識するのだけれど、この企画にはクリプトンが参加していないため一言も「ミク」という言葉が出てこないのが逆に印象に残りました。

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イグノーベル賞受賞記念講演

人間の無神経なおしゃべりを妨害するため、その人の声をわずかな遅延で聞かせる装置を開発して、イグノーベル賞を受賞した方の講演。

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国際学会の論文はrejectされたけれど、Youtubeに動画を公開したことで、それが世界的に話題になり海外のニュースでも数多く取り上げられたため、それが結果的に受賞に繋がったとのこと。それがこの動画。論文も大事だけれどネットで幅広く知ってもらうことも大事だな


イグノーベル賞は、授賞式もウイットに富んでいるようで、

  • 講演は1分間
  • 必ず笑いを取らなければならない
  • 1分経つと、少女たちが「飽きた」と言って聴講者を引きずり下ろす
  • ノーベル賞受賞者にステージの掃除をさせたりと、冗談でこき下ろすようなことをする

などというお作法があるそうです。

英語プレゼンでいかに笑いを取るかに苦心をされたそう。「一分以上だらだらとプレゼンをして、相方からこのスピーチジャマーで邪魔される」というネタを仕込んだそうですが、端から見ていると邪魔されていることが分かりづらくすべってしまったが、 翌日の個別発表では「動物園の動物に試してみた」というネタプレゼンを作り、これがウケたとか。 ウケ大事というのは研究の頂点にいってもそういうものらしい。


展示

複数のスマートフォンをつまんでつなげるインタフェース(東京工科大学

今回の展示で一番印象に残った展示はこの「Pinch 複数の画面をつまんで繋げるユーザー・インターフェース」。 二つのスマートフォンをつなげて二つの画面をまたいで、指でピンチ(つまむ) すると画面が仮想的に連結するというインタフェース。連結したあとは加速度センサで相対的な位置、角度を検出していて大きな画面の中の一部を覗いているような体験ができます。

簡単で直感的な操作で複数のデバイスの画面を連結するというアイデアが実装されていて、今回個人的には一番いいね賞を投票したい展示でした。

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Rocketnews24が公開した動画を見ていただくと分かり易いです。
http://www.youtube.com/watch?v=31TqFXLaC8s

透明プリウス (慶応大学)
自動車の背面につけたカメラ画像を処理して後席の自己再帰性反射材に投影することで、ドライバーから見るとまるでクルマの後ろが透明になったかのような視界が得られるというもの。「光学迷彩」の実用性をアピールするためのデモです。応用範囲が広そう

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ラジへぇ (東京大学
ラジオ版ニコ動といったところ。
ラジオに視聴者が合いの手を入れ放送に載せる仕組みを作って、地方FM局で実際に実証番組を放送したとか。「へえ」「おお」「マジで」などいくつかブラウザ上、用意された合いの手ボタンを押すと放送で合いの手が入る。視聴者は公開収録に参加しているような雰囲気になるし、ボタンが押されたタイミングが集計される、反応が多かった時間が可視化されるので作り手も次の手を打ちやすいというメリットが。
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MM-Space: 次世代ビデオ会議のための会話場再構成システム(NTT)

テレビ会議をより簡単、また臨場感を上げるためのテレビ会議システムのプロトタイプ展示です。 それぞれ別の場所にいる参加者同士の顔が円卓に半透明スクリーンに映されています(下の写真)。参加者の顔はWEBカメラで撮影されているのですが、ただ顔を写すのではなく、顔を向いている方向を検出して、スクリーンの角度に反映します。 なので参加者がどの参加者に注目しているのかが分かり易いというもの。 SFチックですね。 その他人物の背景を自動的に黒抜き処理するので自宅で会議しても、ごちゃごちゃした部屋を見せずにすむといったメリットもありそうで、こちらはすぐにでも実用化して欲しい機能です
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今回の展示は、ニコニコ学会の協力で「リアルタグ」を展示にはるという企画を試みていました。
来場者の感想が可視化されるおもしろい試み。これは5月のニコニコ超会議で行われていたなあ。簡単だけれど、発表者にも励みになって良い企画
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