CEATEC2012を見学

今年もCEATECを見学してきました。

去年に比べると出展ブースの規模も来場者も少なくなっていて、国内の家電の景気の悪さを感じてしまいます。特にこの5年以上CEATECを牽引してきた薄型テレビはどのメーカーも展示を大幅に縮小しています。

去年はエネルギー、エコといった領域がトレンドになっていました。今年はそれが発展・深耕していると思っていましたがそれほどの発展は見えません。
次の目玉を模索している時期なのでしょうか。

会場全体でのトレンドはスマート家電、スマートシティ、スマートコミュニケーション など、「スマート○○」というテーマ。
「スマート」は痩せているという意味ではなく、スマートフォンと同じ「賢い」という意味。今年の「スマート○○」の展示の多くは、モバイルデバイスで状態を取得して統合管理するものが主です。

もう一つのトレンドは他業種との連携。
自動車メーカーが進出していましたね。日産は以前より出展していましたが、今年からトヨタも出展。1ブースはまるでモーターショーのような雰囲気です。
そして、今年から目立ったのが、就活のための合同説明会、会社紹介のプレゼンです。 従来から学生が就活のために展示会を見学することはあったものの、今年は組織だってイベント化されていました。

以下、各ブースについて

携帯キャリア

NTTドコモ

ドコモの研究所で試作中の3つの技術の展示と最新スマホを中心に展示をしていました。

視線入力タブレットタブレットの操作もできないような混雑した電車のなかで画面の操作を行うことを目的として、目を動かすことで画面をスクロールさせる技術。黒目の位置を検出して制御している様子。ここは開場20分後ですでに待機列閉鎖。その後も2時間待ちという大賑わいで触ることは出来ず。
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ウエアラブルカメラ: 自分撮りをするためのメガネ状カメラ。超広角レンズがメガネの左右について、画像処理することで掛けている人の顔を再現するというもの。ビデオチャットで相手に自分の顔を送りたい。でもフロントカメラはない…という時に使うためのものだそうですが… あまり必要場面を思いつきませんが、きっと業務用途で使う場面があるのでしょう。
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もう一つは、つまむという操作でスマホを制御する「グリップUI」がありました。


その他:

クレードルのほうが主体の「ワンピーススマホ
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ドコモのガラケー時代の両巨頭メーカー2社によるロボット共演
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ドコモの展示は、説明員が丁寧に各来場者に説明するという方針を例年とっていて、
それは間違っていないのですが、いかんせん回転が遅く、どの展示も1時間待ちとなってしまい
結果的に体験することが出来ないという残念な結果となってしまいます。今年も同様でした。



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一方のau。 こちらは来場者が自由に声を掛けられるため、待ち時間が少なく、多くの展示を見て回れます。

auが最も力を入れていた展示は、スマートテレビボックス。 光ファイバでの地デジ送信に加えて、ネットのストリーム(KDDIの有料コンテンツ、 ニコ動、Youtube) を表示するテレビシステム。価格次第かなあ。
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真新しい展示も多く、技術的な興味も惹かれます。
実用性はさておき、今回のCEATECで一番関心した技術がこれ

iPhone同士の超音波通信: iPhoneに何も付けることなく超音波で通信をしています。 標準のスピーカーから18kHzという一般の人にはきこえない高い音で情報を音にして発信。近くに置いた別のiPhone がマイクでその音を受信してデータを送受信するというもの。
iPhoneのマイク、スピーカーがそこまでf特良いとは驚きでした。
技術的にはBlueTooth との差異が気になるところ。ピアリング不要、1:nの通信が出来るという点がこの方式の優れているところとのことです。
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スマホ上での音声合成アプリ: スマホ単体で音声合成するアプリで、GooglePlay で公開中とのこと。いわゆる「ゆっくり」の声をもうちょっと聴きやすくしたレベルの音声合成。残念ながら二次利用はNG(ニコ動で「ゆっくり」代わりに使うことはできない)
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技術面ではドコモのほうが充実しているかもしれないけれど、展示会での見せ方はauがうまい。何十分となる行列にならないし。

家電メーカー


この5年ほどの薄型ディスプレイブームも一段落。また去年にわかにブームになったエネルギー関係の展示は予想以上に減退しています。
各社とも次のタマを模索しています。

今年は、ハードウエアでは 4Kディスプレイ、 ソリューションでは スマート○○ が旬。
また、去年までブームだった Android タブレットは数が少なくなり、Windows8タブレット型PCの展示が増加しています。各社とも説明員は明言してくれませんが、AndroidタブレットよりもWindows8タブレットの方が市場性、勢いがあるのではという印象です。

シャープ

経営的には厳しいシャープ。しかし技術力は衰えていないことを感じさせる展示です。
ナレーターの「これからもシャープは技術革新を続けてゆきます。これからのシャープにご期待下さい」という普段なら定型句として聞き流すフレーズも昨今のシャープを見ていると感慨深いです。

次世代の液晶「IGZO」。そろそろ製品化のフェーズです。IGZOは液晶パネルの開口部が広くなり高精細でバックライトの光量も減らすことができます。 現在でも300dpi近い紙のような解像度でこれがタブレットに採用されたら本と区別がつかないような精細な表示になるでしょうね。
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太陽電池をスリット上にして窓ガラスに貼り付けた「シースルー太陽電池」。ビルの窓に貼り付けることで、適度に眺望はありながら太陽電池としても機能するものです。
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東芝
東芝はじめとして、パナソニック富士通などの国内電機メーカーは今年は「スマート○○」というキーワードで展示ブースをまとめていました。

「スマートコミュニティマネジメントシステム」
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4Kパネル: 各社が4Kディスプレイ(横の解像度が4000ピクセル)を展示しています。
テレビ放送はまだまだ将来ですが、ディスプレイの開発は進んできています。さあ普及するのかどうなるのか
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Windows8 PC。 タブレットとノートPCの両方に変形。

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パナソニック

ブースが数年前のように大規模だったのはパナソニックのみ。

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それでも、展示は小ぶりかな。VIERAの展示は見当たらなかった。
かわりに「スマート家電」が今回の目玉。スマートフォンで家電の状態監視を行うというシステム。
冷蔵庫、洗濯機、電子レンジ、エアコンの消費電力をチェックし、またエアコンの電源をOFFにする
といった操作をスマートフォンのアプリから行うというものです。

これはエアコンのリモコンですが、「運転停止」ボタンはあっても「運転開始」ボタンがありません。
外からエアコンを切ることはできても、帰る前にクーラー入れておこう。。 ということは出来ないわけでる。これは電安法という法律による規制が影響しているとのこと。規定されたのは何十年も前のことで、今の状況を想定はしていないのですね。 改正されるとよいのですが。
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スマート家電は今のままだと消費電力が表示されるぐらいで、実現されたときになにか今と違う便利な未来が予感できません。もしかしたら説明している人も実はそう思っているのかもしれませんね。
仮に電安法の規制が無くなり、スマホクラウド側から家電の制御が自由に出来るとしたら、何か便利な未来が拓けるかな?

ソニー

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これまで、VIERAを何十台と並べてパナソニックと競い合っていたソニーですが、ディスプレイの展示はほぼなく、 Xperia やデジカメなど小型ガジェットに注力してきています。
今年の目玉は新発売のヘッドマウントディスプレイ。30分以上並ぶし、来月には家電量販店で体験できるのでパス。
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Xperia の新モデルの Xperia Jなどいくつかのモデルが展示されています。
Xperiaも防水タイプが出てくるそうです。 下の写真、左側が新型Xperia、 右は私のGalaxy Nexus です。
若干GalaxyNexus より小ぶり。値段次第ですが またXperiaに乗り換えようと考えてます。
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コンデジサイズにフルサイズCCDを搭載した RX1
30万円近く、趣味人しか買えませんが、このようなとんがった製品がソニーからでてくるとデジカメ市場が活気づくので嬉しいです。 キヤノンも対抗して欲しい。

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Windows8 PC。スライド式でタブレット型、ノートPC型の両方に変形。

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富士通


富士通もスマート家電関連のシステムを提案していました。ただ家電各社と違い、自分で家電を持っていないため、ベンダ非依存の家電制御システムです。現在は各家電の消費電力を測定して集計するというようなシステムです。やはりどこのメーカーもスマート家電というと消費電力測定が主なのだろうかな。

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視線制御U。 ドコモにも同種の展示はありましたが、別物。 ディスプレイの下から赤外線を照射し赤外線カメラで黒目の位置を特定、そして視線方向に画面をスクロールするようにしている仕組みです。
メガネをかけていると光の反射の関係で誤認識が多く、チューニングはまだ必要と感じました。
実用化は意外と早く来年初めには製品に搭載されそうな話でした。

製品とは別ですが、富士通は以前から展示内容を分かりやすく伝える工夫をしています。各展示のポイントをそれぞれA4 1枚にまとめるのも富士通が最初でしたし、今回は各パネルの左に何が新しいのかを名機しています。継続して出展しているのか、今回が新規なのか一目瞭然です。

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NEC
一方のNEC

目玉は無かったですが、「緊急公助ワイヤレスソリューション」は目的がはっきりしていて期待できました。携帯の基地局が倒壊し、人々がビルの下敷きになるような大震災で、埋もれた人を見つけ出すシステム。バイク可搬型のアドバルーンに携帯の簡易アンテナを付けて、埋もれている人の携帯から出る電波で位置を特定し救助隊に連絡をするというものだそうです。ニッチなシステムですがCEATECでネットワーク部門でグランプリを受賞したのも頷けます。
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他の展示はごった煮でよく分かりません。。。

日立
これまで大ブースを出していた日立。 今年は電気自動車の給電スタンドを5台ほど並べるだけの
小さなブース。他のブースにも日立の出展があるのかと何度も地図を見直しましたが、ここだけ。
でも出展を見送らなかったのは「家電から撤退はしていないぞ」というメッセージでしょうか。
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自動車関連

今年のCEATECで大きなエリアを占めていた自動車関連の展示。
モーターショーではないので自動車自体の展示は行っておらず、電気自動車をからめて街全体で電力をやりくりする「スマートシティ構想」を基調とした展示となっていました。

トヨタ

試作の一人乗り電気自動車を展示。この車単体ではなくて、サービスセンターとの連携といったネットワーク面をアピール。
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日産

1〜2ホールの広大な空間に、電気自動車の自動運転エリアを設け、リーフによる自動運転をデモしていました。混雑したショッピングモールで、空きエリアを検索してそのブースに自動で向かって駐車。 電子バレーパーキングサービスといったところでしょうか。
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CEATECは、自動車業界の出展増を期待しているようですがあまり期待できなさそう。自動車業界のシステムの進化は電子業界よりもゆっくりで毎年新しいデモができるとも思えないし。

その他

今年はデバイス系はほとんど通過する程度。。 ムラタセイサク君も見ずじまいでした。

気になったものをいくつか

HUAWEI。 勢いがありますね。ミスユニバースのモデルを何人も連れてきてファッションショーの形式でスマホの紹介をしていたようです。

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ルンバのiRobot

ルンバだけでない、 戦地などのヘビーな場所で活躍するロボットも開発しているそうです。
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名古屋大学
目の錯覚によるハーフミラーを使った3Dディスプレイ
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就活(合同説明会)コーナー

会社説明会用ブースが数十社並んでいました。 最初気がつかず、なぜ展示がないのに椅子だけ大量に並べられているのかと疑問に思いました。
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気になった点。。

土曜の午後という例年なら混雑する時間でも,会場はスカスカ
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おまけに、表にはCEATECの文字がないという。
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ここまで読んでいただきありがとうございましたー
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