CEATEC2011 行ってきた。
今年もCEATECに行ってきました。毎年恒例の10月のイベントです。
CEATECが終わると次々と年末に向けてカウントダウンが始まってゆくというのが私の感触。
今年のCEATEC。トレンドは、エネルギー(スマートグリッド)のようです。電気自動車の充電装置、キャパシター、燃料電池など。デバイスメーカーからIT企業までそれぞれの立場での出展がされていました。まだコンセプトの展示をしている所は多い印象です。 これから伸びるのか、数多あるバズワードの一つとして定着することなく終わってゆくのか分かるのはこれからでしょうか。3年ほど前の「CO2削減!エコ」という低炭素化社会へ向けてのアピールを出している企業がほとんど無いことからも、一過性のトレンドではないかと懸念してしまいます。
もう一つのトレンドはスマートフォンサービスでしょうか。 多くの来場者はiPhone4Sについて興味を持っているでしょうし、説明員も本当はiPhone4Sのことを話したいのでしょうが、ソフトバンクはそもそもCEATECに出展していないし、KDDIはAndroid端末の秋冬モデルしか紹介しないという隔靴掻痒。
3年前まではトレンドを引っ張ってきた薄型ディスプレイ。地デジ需要が一段落して、去年は3Dを表に出していましたが、今年は次世代ハイビジョンの4Kディスプレイを参考展示するメーカーが数社出てきています。企画化もされていないし、実現までは少なくとも8年以上はあるという技術。
全体を通して、「帰りにヨドバシカメラによれば見られるような市販品」か「コンセプトレベルで、モックさえもないような展示」のどちらかになっているものが多い印象です。 ただ一方で印象に残る展示もいくつもあります。これらはいずれも実際に商品に携わっていて、よく分かっている人から説明を受けたものですね。 モノだけならネットで見ればよいけどプロに実際に質問を出来るというのはこの展示会の醍醐味です。
- ディスプレイ系
シャープ
他社が4K2K(横4000、縦2000)のディスプレイを展示している中、8K4Kを展示していました。実は昨年NHK技研公開にてこのディスプレイを見たことはあるのですが、100インチ近くあるディスプレイで5cmほどまで顔を近づけてもまだどっとが見えないほどの細かさです。 まだまだ伝送処理などは困難あるようです。非圧縮だとGbpsクラスのレートが必要になるし、高精細さを活かしたままの圧縮技術も苦労している様子。8K4Kのカメラは日立が作っているようですが、CCDのドットあたりのサイズが小さくなり暗いところでの性能が厳しいとのこと。 まだまだ日中の画像でないと辛そう。
8K4Kは放送のディスプレイとしてはまだまだ先かもしれないけれど、ホワイトボード代わりなどパソコンのディスプレイとしてなら活用用途はありそう。
もう一つ、通常のフルHDの画像を元に、4Kディスプレイにアップコンバートして表示しているデモ。
ICCという超解像技術を利用して精細度をアップしているそうです。100の情報から400の情報を作るわけで、原理的には無理な話なのですが、目で見ると実際に精細になっています。様々な予測や補完技術が詰まっているのでしょう
東芝
去年、グラスレス3D(メガネなしで3D動画を見られる)を出していましたが、今年も同様に展示をしています。4K2Kでのグラスレス3D展示もあるとのことでしたが、見かけられなかったなあ。去年は開幕ダッシュをしたものの、すでに受付終了となってしまったブースでしたが、今年は20分ほど並べば見られるように改善されていました。 REGZA自体は、あまり違いは感じず。。
どの薄型テレビもそうですが「3年前と画質が違うのだろうか」というと、もうどれもあまり変わらないように見えます。
ソニー
一時期有機ELを展示していましたが、また液晶オンリーにもどったソニー。
今年は3Dがメインだったか。 3Dデジタル双眼鏡、3Dヘッドマウントディスプレイなどを展示。これらはそろそろ店頭にならぶそうだ。
- 通信サービス
ドコモ
ドコモは今年はスマートフォン上のサービスについての展示が主流でした。
ブースデザインも非常にゆったりとしています。
スマートフォンを利用したサービスの一例。食事の写真を撮ると、写った食べ物を画像解析して食べ物を特定しカロリー表示をするというもの。解析はスマホではなくセンター側で行っているとのこと。例ではカレーが写っていますが、候補としてカレー以外に「ハッピーターン」「白い恋人」など全く関係無いものまで上がっています。もっともっと改善が必要でしょうか。
他には、スマートフォンのジャケット(カバー)に放射線測定器をつけて測定をするもの。
通信はFeLiCaを利用。GPSと連動して、地域の放射線測定が行えるというもの。他には体脂肪測定スマホ(カバーの端に金属端子が4つついて両手で握って体脂肪測定が出来るというもの)いろいろ考えるなあ。
一覧性のよいUIの例とのこと。アイコンをボタンではなく、連想される絵で表示しています。たとえば天気予報は窓(雨なら絵も雨になる)、電車運行情報は棚の電車のおもちゃをクリックなど。 昔のポストペットの部屋のようだ。
昔はたとえばLTE実験トラックを持ち込んで横須賀との間でLTEの接続実験を行い、PingのRTTを見せるというマニアックなデモもしていたのに、もう通研の出る幕は無いのか。
もっと先端技術を見せて欲しいよ。
KDDI
iPhone4S の発売が決まってはいるものの、iPhoneのiの字も見かけないし、ジョブズ追悼のメッセージも見かけない。
LISMOも大々的に展示をしている。先日LISMO store の廃止が発表されたが、Player はまだ残るとのこと。 配信が無いのだからサービスとしてはもうないよね。 虚構新聞ではもう死んだ扱いされているリスモくんさん。ここでは元気に生きていました
骨伝導スピーカーを仕込んだ携帯。カナル型イヤホンをしていても、その上からはっきりと音が聞こえます。 骨伝導スピーカー自体は以前からある技術だけど汎用的ではないなあ。 聴覚障害者だけでなく、イヤホンをしている、騒音の多い場所で会話するなど便利な利用用途が多いから、もっと普及をして欲しい。
- スマートグリッド、環境
日立
日立のエコ支援商品の総称は「エコポンパ」
オヤジギャグをいう経営層には受けそうな名前ですな。エコがポン!パ!とできる。
エコポンパのWEBより
2010年4月の改正省エネ法の施行によって、ある一定規模以上の店舗あるいはオフィスを所有する法人にも店舗やオフィスを含む企業全体の消費電力の把握と報告が義務付けられました。そしてエネルギー消費原単位を中長期的に見て、年平均1%改善するという努力目標が定められました。このため、多くの企業が省エネに取り組んでいますが、専門知識や新たな設備投資、さらに従業員の意識共有が必要となり、スムーズな実行は難しいのが現状です。
http://www.hitachi-ce.co.jp/ecopompa/outline/index.html
なるほど。専門の環境対策要員を準備するのが難しいSMB市場向けがターゲットなのだろうな。
他の企業も節電の話が多いけど、今年の電力抑制指令と相まって節電対策、エコ対策が部署の課題から、経営課題に上がってしまっているというわけだわな。
展示されていたものは、オフィスの電力利用量の監視システムや、スマホで外から家庭の電気機器を制御したりだとか。
日立だけじゃないけど、家に帰る前にエアコンのスイッチをリモートで入れたり、雨が降ったら電話で物干し竿を引き込むといったものはそれこそ20年ぐらい前の展示でもみたぞ。。 プッシュフォンがスマートフォンに変わったぐらいか。。これが一般的になっていないということは例に無理があるんじゃないか。。
NEC
電気自動車の給電スタンドを展示をしていました。
NECは日産と共同で急速充電器の開発をしているんだよね
http://www.nec.co.jp/press/ja/1101/2703.html
そのアピールかな。
このプレスリリースを読むと、「スマートネットワークプロジェクト」という国家プロジェクトの研究成果発表のようです。参加企業はドコモ、NEC,積水ハウス、バンダイナムコ。 えっバンダイナムコ? なぜ?
パナソニック
パナソニックは去年まではVIERA,3Dを中心に据えていたのですが、今年はスマートグリッドのコンセプト展示が主です。
パナソニックらしい、家電とネットワークを統合したスマートシティ構想をぶちあげていました。藤沢に実験街区を作るそうです。あ、元松下冷機があった場所か。藤沢警察の横。 箱根駅伝でよく写るところで「○_○」という看板を上げているひとがいるところだ。
まあ、パナソニックグループはパナソニック電工も持っているし強いよね。
富士通
キャパシターを利用した車用バッテリーを参考展示。バッテリー一つで3kmほどの走行距離。 いくつか並べても15kmほど。 もともと何百キロも走る電気自動車を作るのが目的ではなく、キャパシタの急速充電性能を活かして、駅までの買い物などの際に家庭電力から充電をしてから出かける、蓄電池としてスマートグリッドへの電力供給源として使うなど検討しているようです。 デバイスとしてはできても、社会全体がスマートグリッド化しないと実現をしない技術の一つだとおもわれ。
OpenBlocks600を利用したVPNシステム。 WakeOnLANを利用しているRDPシステムだそうだ。
デモしてもらったが、見たことあるモジュール名がたくさん出てくる。OpenBlocksいいね。
富士通は「京スーパーコンピューター」のプライムベンダーであるので今年は堂々展示
- そのほか
京セラ
触感タッチパネル。 タッチパネルに振動機能を付けて、まるでクリックしているかのような感触が付加されます。こればかりは体験しないと分からないですが、クリック感、振動感はリアルです。
プチッ、ブルッ、など感触が変わります。ガラケー時代はボタンのクリック感があったけれど、ノッペリのスマートフォン全盛時代、でもやはり必要な場面ではクリック感があれば分かりやすいよなあ。この技術スマートフォンの差別化に重要になりそうです。要チェック。
超臨場感フォーラム(慶応大学展示)
いわゆる光学迷彩の一つですが、3つのカメラで合成して、特定の物を消し去るという技術です。具体的なデモでは、野球をバッターの後ろからピッチャー方向を眺めるという動画で、審判を消すことが出来ます。実際にデモをしていました。画像としても無理がなくきれいに審判が透明化していました。 テレビ局は採用しないかな。
超臨場感フォーラム(テレワーク)
去年も展示をしていましたが、沖電気によるテレワーク技術展示。
これまでも、家庭のテレワーカーが孤独感を感じないように、職場に多数おいたマイクを使って職場の雰囲気を伝えることに注力をしていましたが、今年は職場の人の繁忙度を表示して話しかけてよい人を探すというデモです。PCの利用状況で繁忙度を測るそうです。まだまだ課題あるなあ。PC使わずに思索にふけっていたり、電話で話すというPCを使わずに集中する場面はまだまだ考慮されていないし。 まあ、テレワークを例年展示しているのはここだけなので毎年注目をしています。
それにしても「職場の様子が分かります」というデモ。てっきり録画と思いきや、沖電気の事業場の一人出勤している管理職と思われる方が応対してくれた。このために一人出勤しているのですね。。 お疲れ様です><
超臨場感フォーラム(インテグラル3Dレンズ)
学生研究のようです。3Dのデモ画像としてミクを使っているので撮ってみた(笑)。
私が質問する前に、「3Dって終わってますかね?」と寂しいことを言ってくるので、「まだ始まってもないので終わりようがない」と応えておいた。 終わるにはまず始めないといかんのだよな。
インテグラルレンズのデモ。 下の50個の画像をレンズで合成し、3D映像が表示されるというもの。