NHK技研公開 2009 行ってきた

例年恒例のNHK技研公開に行ってきました。


まずはいくつか紹介。


■ 今の16倍の細かさ スーパーハイビジョン 伝送実験

スーパーハイビジョンは、次世代のハイビジョンの規格。今の16倍の画素(8000x4000)をもつ、臨場感あふれる画面が楽しめるのですが、何しろ今の16倍のデータ量、細かさになるので、それぞれ解決すべき課題が山積。 (データ量は16倍どころじゃないや。。。)

(1) カメラなど収録機材
(2) 伝送
(3) テレビ受像器など

それぞれここ何年かのNHK技研のメインの研究トピックですな。
収録機材は、まだまだ大型なものの、なんとかロケにも使えるようなものが出てきたようだ。 伝送部分と、テレビ画面の部分でまだ課題はあるようなのだが、 今回の展示では、(2)に相当する伝送の課題に対する解として衛星を使った伝送実験が行われてました。







札幌の街の風景をスーパーハイビジョンカメラ(帯域 24Gbps)で撮影。近くの札幌放送局まで光ファイバで伝送しそこで、 H.264 の100Mbpsのストリームにして、そこからJGN2 Plusというネット回線を経由して茨城へ。 茨城の地球局からは他の2つの番組とあわせて300Mbpsでインターネット衛星「きずな」に送信。 それを砧で受信。ということなんですな。 1/200に圧縮するエンコーダも、300Mbpsで通信できる衛星技術もそれぞれ素晴らしい。 総合力の勝利なんでしょうか。

ちなみに、スーパーハイビジョンのディスプレイはまだまだできないようです。その1/4の解像度の103インチディスプレイ(それでも今のハイビジョンの4倍の細かさ)は展示されていましたが、1/4とはいえ、十分な細かさでした。




あとの展示は、小物なんだよなあ。。
でも、面白いものもいろいろある。

■ 区域外再配信上等 P2Pを使ったオーバレイネットワークによる番組配信

Skype などで使われている構造化P2P技術をつかったデータ転送。
この技術をつかって、放送を配信しようという研究。 技術面よりも法制度的にいろいろチャレンジングかも。なんで「オーバレイ」かといえば、番組毎、地域ごとに効率のよいネットワークを作りたいから。

P2Pでオーバレイというから、DHTなどの構造化オーバレイ技術を使っているのかとおもったら、「オーバレイ」は、ネットワークレベルでのオーバレイ(VPNとか) のことだった。 「よく間違えられる」と苦笑されてました。

さて、インターネットを介しての配信だから、区域外再送信につながってしまうのだけど、「区域外再送信上等!」 というようなノリで話されていた。毎年いろいろな研究者の方の話を聞いて思うけど、NHKの公式見解とは違った自分の意見を語ってくれるのが好き(笑)。




■ 情報還流システム(別名 2ちゃん実況モニタシステム)

2ちゃんの実況板の書き込みを見れば、番組に対する興味、評判、人気が分かるけど、 機械的に解析して、リアルタイムに「誰/何にどのような評価(神!/ カエレ!)がされているかを解析するというシステム。







GIGAZINEで取りあげられたことから、2ちゃんでも盛り上がっているこの技術ですが、 実際には2ちゃんの解析はまだまだで当面はクローズドな環境で実証を続けていこうということみたいです。



■いろいろ感想
今年も、最初はツアーでまわって、あとでじっくり一人でまわるという見学をしました。

今年はツアーの最後にグループインタビューがありました。わざわざツアーに申し込むだけあって、NHKに対する意見を言う言う(笑)。 インタビュアーはNHK技研の研究者なので、いろいろとインタビューに慣れていないのが気になったが。。


技研公開の展示は今年は小振りだったなあ。 NHKの番組内で宣伝するから、子供からお年寄りまで含めて多数来場しているのに、展示は、ポスターセッションだったり、 学会的な発表なので、期待はずれというか「ワケワカラン」という人多いだろう。
週刊こどもニュースのスタッフを使って、もう少し一般の人にもわかるように展示を工夫してくれ と要望してみたけど、どうなることやら。