ニコニコ大会議2008行ってきた- ひろゆきと夏野氏が作りたいCGM文化

前回(3月)のニコニコ動画SP1 発表会に参加した時に
ひろゆきは本気でCGM文化をつくりたいんだろうな」
というエントリを書いた。
http://d.hatena.ne.jp/takeim/20080312

当時も、「違法動画を全部削除」というリリースを直前に出して発表会に臨んでいたのだな。
当然発表会では、「違法動画削除」について質問がメディアからでて、それに対して、ひろゆきが答える と言う流れ。 今回と一緒だ。



いったん、きれいにする

今回のネタは 、「MAD作品であっても権利者から要請があれば削除」という突っ込んだものですな。
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2008/07/02/20130.html
テレビ動画のキャプチャーをアップしていた際は、著作権的に真っ黒だから「まあしかたないよな」とユーザーも納得していた。
ただMAD作品の削除はちょっと違って反発をする人が多い。
ニコニコ動画は、ユーザー同士でマッシュアップしていると意識が参加者同士にあるんだよな。 つまり作品の一部は自分たちが協力して作り上げたという意識があるから、 MADが削除されるのは自分の作品が消されるように感じるのだろうか。

今日の会議でもユーザーから質問があったけど、ひろゆきからの答えは「MADが消されるのがそんなに問題ですかね.. 」というもの。元々「つかってはいけない」といわれている素材を使っている以上、いくら芸術性があろうと、だめなものはだめなんだよな。
CGM文化を発展させるには「違法状態をなくす」ということを徹底しないと始まらないわけだわな。
それが今回のMAD削除。

ただ、権利者からの削除要求をそのまま通すのではなく「だれだれからの要求によって削除した」というのをはっきりと分かるようにして削除するというのもポイントらしい。 いくつかの動画や音楽が組み合わさっているものもあるが、どの部分が問題で、だれから削除要求があったのか分かりづらかったのだが、これからはどの部分が問題になったのかが分かるということだな。 もしかしたら、これまで安易に「削除削除!」と言っていた権利者も損得勘定(?)を考えて要求を出すかもしれない。 これはただでは転ばないニワンゴらしいところ。


新しく「しくみ」を作る

MADがつぎつぎと削除されるとCGM文化やニコニコ動画は衰退してしまうのだろうけど、今回導入する「ニコニ・コモンズ」が、二次創作の合法化 (説明会の中では「公式黙認」と言っていたな)につながるのだろう。

この、ニコニコモンズ。 フリーな素材だろうが、有償素材だろうが取り扱えるようにする仕組みだわな。
ここに登録されている条件(無償利用なら自由に利用可能、ニコ動無いに限り利用可能など) であれば、MADを作るのは完全に合法になるので、安心ということだな。

素材を作っている人にとっては励みになるし、もう一つ重要なのは有償利用もOKなので、コンテンツの権利者(角川など) がこの仕組みを利用して、なにか商売(1素材あたり500円だとか) をするっていうことも可能なのだわな。
権利者と二次創作者がWinWin の関係が作れるのだろうか。

もう一つ、「誰が素材を使っているかが権利者に一発でわかる」というのも特徴。いまの音楽著作権の場合は、JASRACがどんぶり勘定で利用回数を算出しているので、これまでの歴史的な流れで演歌歌手に高く、J-POPには低く収益が割り振られていたけれど、ニコニコモンズ経由のコンテンツ利用であれば、正確に利用数が分かるし
視聴数だってはじき出せるわけだわな。 JASRACと違う「透明性の高い著作権管理」をする可能性だってあるな。


iModeで成し得なかった世界制覇の野望をニコニコ動画で!?

ここまでの話は3月の時にも、構想として語られていたな。 でも権利者が乗ってる可能性がそれほど感じられなかったのだが、夏野さんがドワンゴに顧問として参画することで少し現実味が出てきたのかな。

夏野さんと言えば、ドコモでコンテンツビジネスを開花させた人として有名だな。将来ドコモの社長になってもおかしくないのだが、規制産業の日本の携帯キャリアだとやりたいことがやれない などの事情で退社したという人。「日本発のコンテンツと提供するプラットフォームの世界展開」に野望を持っているのが今日のプレゼンからも伺えたな。

豊富な人脈で、国内のコンテンツ権利者と交渉しながら、コンテンツ提供・二次創作のためのプラットフォームを作っていくことができるかな。

いわゆる「ビジネスマン」が参画することでニコ動がどちらに転ぶか。


これからは、ひろゆき に加えて、 「夏野氏」もウォッチ対象ですな。
いやはやおもしろい。