8/21にWish2009 に行ってきた (感想)
先週の金曜日の話。
AMN 主催の WISH2009 というイベントに参加していました
http://agilemedia.jp/wish2009/
このイベントは、 「WEBの未来を担う可能性を発掘共有応援しようというイベント」で、始まったきっかけは、かの梅田望夫さんの「日本のウェブは残念だ」発言がきっかけらしい。 「いや日本のWEBは残念じゃない。まだまだ元気だ」というモチベーションのもと、日本でWEBアプリ、WEBサービスを作っているベンチャー、大企業、個人が集まって自分のビジネス、作品をアピールするという企画でした。
ベルサール九段という立派なホールで行われたこのイベント、300人の定員の所400人と立ち見が出る大盛況。夜10時過ぎまで白熱したプレゼンが行われていました。
すでに各メディアで紹介がされていますが、私なりに思ったことを書いていきます
たけいのWISH賞
会場では、Joker Racer というネット経由で本物のラジコンカーを操作するというサービスが大賞をとりました。 「各ブログで、それぞれみなさん自身のWISH賞を発表してくださいね」とのことでした。
私が差し上げるとすると
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- 大賞: 田口さん Action*Pad
- 運営賞: 黒板.in
です。理由は以下に書いていきます
全体を関しての所感
どの発表者も作ったシステムも優れているのは当然として、プレゼンの質がとてもとても高い。「質」というのは、パワポが凝っているというよりもシステムの利点特徴のアピールの仕方、話し方、など。 私よりも若い人がほとんどの中、参考になることばかり
サービスを作るまでは多くのエンジニアが到達できるし、サービスインして世に出すまで到達できる人もそれなりにいる。 今回プレゼンした14名もそうだし。 ただビジネスとして継続的に利益を出しながら発展をしていくというのは非常に困難ということが今回のプレゼンで分かった。 現在はインターネットで素敵なサービスを出したからといって利益を出すのは困難な時代になっているのだな。 数年前のように広告で利益をだすというモデルはGoogle ,mixi程度の大規模なWEBサイトに限られてきているようだ。
今回百式の田口さんが言われていたように、ユーザー課金をサービス開発者が自ら始められる環境がないと、いつまでも実験の延長になるのだなあ。
発表:
全員で14人。前半、特別にスポンサー枠でライブドアの方が話されて、系15名
ライブドア 櫛井さん EDGE.Co.Lab について
ライブドアが、WEBサービス開発者向けにリソースを無料で貸し出している「EDGE.Co.Lab」についての概要説明。
エッジの効いた開発者向けに、サーバなどのインフラを無償提供し、マネタイズのノウハウも提供するというもの。 ライブドアのWEBコミュニティに対する貢献の一つの形だなあ。
ライブドアって堀江さんの逮捕時に「虚業で技術のない会社」なんてことがマスコミで言われたりもしたけど、実際は逆で、高トラフィックのデータセンターを安定運用するという地味だけれどインターネットの世界でとても重要なコア技術をもった集団なのですよね。
- ここから本発表
ドレスファイル 西さん
レンタル倉庫+検索+宅配+オークションといったコンセプトをもった仕組み。「オンラインクローゼット」と呼んでいた。
自分の普段使わない洋服を倉庫(ドレスファイル)に預けておき、着たいときに着たい場所に宅配してくれる。
格納時はクリーニング、安全な保管をしてくれるというもの。
それだけではなく、倉庫内でオークションをしたり(所有権だけうつるわけですね)、コーディネーションのアドバイスを自動でしてくれたりという機能もつけているというもの。
オンラインストレージを実物の世界に拡充したというものですね。
実運用時には、ネットサービスのノウハウに加えて倉庫運用やクリーニングのノウハウも必要になるのだな。差別化にはなるがそのノウハウを習得するのが困難かも。 あと、データならストレージ代なんて安いものだが、本物の倉庫代はバカにならない。ビジネスが拡大すると固定費の上昇の度合いも高い。 利用者が納得できる値付けができるかが鍵だ。 あと、自宅に収まらないほどの服をもつ富裕層(?)がどのぐらいいるかも気になるところ。
こくばん.in
WEBでらくがきができる黒板.in。私も一時あそびで試したことがある。
チョークで落書きするようなインタフェースなのだけど、うまい人は写真のような絵を描くのだよな。
さて、最近の「こくばん.in」はユーザの大部分が小中学生なのだそうだ。
そのような低年齢層のユーザのサイト運営について工夫をした点のレポート。
マナーの啓蒙が最大の課題であるとのこと。サービス内では、マイミクのように友達同士になる機能があるのだけど、これを利用するためには、ネットマナーテストに全問正解するのが条件。
また、相手にコメントをすると、それが応援だろうと悪口だろうと自動的に相手にポイントが行く仕組みで、システム上もフレームを抑止する効果を狙っている(「利己を利他に」)。こういう工夫で低年齢層を相手にしても炎上しづらいコミュニティの醸成に成功しているとのこと
コミュニティを安定持続して運営するのは、WEBエンジニア とは別のスキルが必要で、こくばん.inは両方を兼ね備えたサービスだなあ
30min(サンゼロミニッツ)
たべログのようなユーザ投稿のSNSとは異なり、食べ物に関するブログをネット上から収拾し、字句解析、意味解析を行って、店別の評判を自動的にまとめ上げるサイト。
こういう自動収拾サイトはだいたいの場合ノイズ情報が多くなり結局役立つ情報にたどり着けないという結果になることがおおい。このサイトだとどうだろうか
Lang-8
相互添削型の外国語学習SNS。
私は、以前から参加しています。最近放置状態になっていたけれど、また始めようっと
このサイトのコンセプトは、自分の母国語を学習している人の日記を添削し、 また自分が学びたい言葉で日記を書き、ネイティブに添削してもらうという「情けは人のためならず」作戦。 英語を学ぶ日本人、 日本語を学ぶ中国人、 中国語を学ぶフランス人、フランス語を学ぶフィリピン人 など様々な国の人たちがそれぞれお互いに日記を添削しあうというSNSです。
会員の9割は海外だそうで、グローバル化が進んでいるサービス。
人気はあり会員数も多いけどマネタイズがなかなか厳しく、運営に必要な費用の9%しか集まっていないとか。 かわいそう。。インフラ部分が効率化できないと、サービスとして安定運用できないのだな。
Cerevo
デジカメとネットワークの連携。 ちょうどEyefiつきデジカメと Flickr ,Youtube をうまく融合させたようなシステム。
プロトタイプの基盤まで完成させていた。
デジカメで動画、写真を撮影後、自宅でこのカメラを置いておくと夜のうちにネットのストレージにアップされていくというところが、このcerevoの機能。 ユーザは電車の中などで、昨日とった写真をブログにアップ、Youtubeにアップなどの操作がカメラやPCなしに簡単にできるというしろもの。
Xtel慶應義塾大学 ユビキタスコンテンツ・プロジェクト
日用品をデジタル家電に変えるための小型のデバイス(Linuxサーバ)を作り上げたデバイス開発力をもったチーム。
このデバイス群、プラットフォームで構成される「Xtel](エクステル ... クリステルとも読む)を使うと、身近なものがネット家電になるそうで、デモでは傘に三次元センサを付けて、傘を振ることでチャンバラ音が鳴るなんて仕掛けを作っていました
ユーザローカル
最初、このプレゼンはもう少しまえで行われるはずだったのだけど、MACが故障してあと回しでここになりました。
最初のトラブルの時はこちらまでドキドキものでしたが無事プレゼンOK
ブログツールの「なかのひと」「うごくひと」を作っているユーザローカル。
今度は、ユーザの動線確認ツールを提供するとのこと。ページのどこが読まれるかを、サーモグラフィの温度分布図のようにグラフィカルにあらわした図を提示できるそうです
テストマーケティングに応募しないと
よんだよ(yonda4)
http://yonda4.com/
http://twitter.com/yonda4
Twitter の yonda4 というアカウントにつぶやくことで、自分の読書記録をつくることができるという Twitter をプラットフォームとして利用したシステム (TaaS Twitter as a Platform)。
つぶやいた読書記録は、 http://www.yonda4.com でリスト化されるというすぐれもの。
ソーシャルツールであるので、人気のある本や、同じ本をよんだTwitter ユーザーもリスト化されるというTwitter利用の為のツールにもなっている。
Twitter のオープンなAPIのため、多くの関連サービスが生まれています。 まさに Twitter as a Platform ですね。
Joker Racer
一昔前なら、ドラえもんがだす夢の道具の世界。
インターネット経由で本物のラジコンを操縦し、ラジコンから見ている動画が、ネットを介して自分の端末に映し出される.まるでパソコンのなかで車を運転しているような体験ができるサービス。
CGとちがって、本物の迫力がある。
このサービス、ラジコンカーに搭載するLinuxサーバ、制御部分もすべて自作。 マンションの1室を貸し切ってレース場までつくったという実行派です。
やはり会場でもインパクトは高く、大賞を受賞していました。
ソニー銀行
ソニー銀行の「人生通帳」というサービスの紹介。大企業もこのようなイベントに参加するんだ。
すばらしい。
(ごめんなさい。内容は忘れてしまいました。 銀行通帳をネットから確認できるというのがメインだったはず)
三三
名刺管理のASPの会社。
名刺をスキャナで読み込んだあと、実際に人が代行入力して(「人力SaaS」と言っている)名刺のデータベースを作るサービス。
自動文字認識では完全な対応が難しい名刺のデータ化を行っている。
その後、相手の所属や氏名を元にDB化。 社員全員が集めた名刺を見える化することで、チ顧客の社内組織やアプローチしている営業が一目瞭然というもの。
名刺は個人で管理することが多いが、営業員全員が集めた名刺をDB化することで、見えなかった情報がみえてくるのだな。 マイニング的な発想だ。
運用するにはいろいろと課題があるな。必要以上の個人競争がある会社では、集めた名刺を自分の成果として囲い込み、共有財としたくない営業が出てきそうだ。 また、データ入力を人手で行うということはサービスがスケールしづらいし、運用の固定費がバカにならない。
とはいえ、名刺情報のマイニングは営業支援ツールとしてはまだやることがありそう。 費用面でおりあうと期待が持てます。
Conit
iPhone のアプリケーションの課金システムやiphoneでのプレゼン支援ツール(Tapnext)を作っている Conit のプレゼン。
社長の方、勢いがある。 夜中の通信販売CMを彷彿とさせる喋り!
iPhone の有料アプリを作る場合、課金システムはコンテンツプロバイダ側で用意しなければならないのだが、そこを代行するサービスをやっているとのこと。
これからのWEBサービスを発展させるに当たって課金システムは大事だ。リアルにお金が関わる部分は、どうしても経験がものを言うし、変に実装するとしゃれにならないからなあ。次の田口さんの発表とも関わるが、今後日本のWEBが発展するには、マネタイズ(運営者やアプリ作成者にどうやってお金を還流させるか)が不可欠。 仕組みの面もそうだし、利用者の「ネットサービスはタダ」という意識から、「対価を払うのは必要」というように意識を変えなければならないのだよな。
百式の田口さん Action*Pad
百式や Idea*Idea などのブログでおなじみの田口さん。
メディアには顔を出していないとのことで、顔写真は遠慮くださいとのことでした。
やせ形のイケメンでしたよ。
Action*Pad というのは会議のToDo 管理システム。
会議のToDo をWEB上でのスケジュール管理システムAction*Pad で管理するもの。
入力フォーマットはテキストの標準的な記法なので、 PCでもなんでも入力ができ、閲覧は携帯だろうがPCだろうが何からでも行えるという、使い勝手がよいToDo管理。
すっきりしすぎているけらいもあるが、このぐらいのシンプルさでないと使えないと思う。いいバランスだ。
このアプリ、作ったことにも意味があるが、ユーザ課金の実践研究をするということにも意味があるそうだ。
田口さんが先頭になって、ユーザ課金の実証実験を行い、ノウハウを展開するとのこと。
Action*Pad を例に、1企業 月1000円ぐらいでの課金を行うそうだ。
開発者に利益が還元されれば、もっともっと開発がアクティブになるし、優秀な人材がさらにたくさんのWEBサービスを作るようになるはず。 いい正のスパイラルがまわればいいな。
- その他
- その他2
当日は、 movatwitter 経由でつぶやいていました。
やっぱりノートPCなど高速に文字を打ち込めるメディアが欲しい。
ちなみに 私のTwitter IDは http://www.twitter.com/takei
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