P2Pインフラストラクチャ研究会

P2Pインフラストラクチャ研究会 / Winnyの技術と倫理」という固いタイトルの研究会に参加してきました。

最初にWinny作者の 金子さん(47氏)の講演。

本人にお会いするは初めてです。とても著作権幇助で裁判係争中の人とは思えない、真面目そうな技術者の方です。

説明も作者ならでは非常に分かりやすかったです。
Winny1ではファイル共有を作り、その後のWinny2 では匿名掲示板機能を作ろうとされていたのですね。
そのWinny2開発を進め始めた矢先に開発中止... もう3年前のことですがそのまま開発を進められていたら、きっと世界に冠たるソフトになっていただろうなと思うと残念。

Winnyのコンセプトは、Proxy を用いた通信の匿名性向上と、キャッシュによる効率性の向上。 当時のP2Pアプリではは匿名性は確保されていたけど効率性が犠牲になっていたところを解決したいという技術的な興味が開発のきっかけだったらしい。



さて、金子さんの講演の後はパネルディスカッション。Glocomの東浩紀さん、産総研高木浩光さん、Glocomの山根さんはじめとする方々による「Winnyの倫理」に関するトーク。 倫理論などを中心として話が展開し大学の人文の授業を受けているような気になってきました。

主たるテーマは、 Winnyのようなソフトを作ること/使うことの倫理性。
Winnyでは利用者が無意識のうちにキャッシュを配布するいわば送信者の役割になっていて、それを作者が積極的に利用者に知らせないのが問題 というような事がいわれていました...
うーん。このあたりはどうなのだろう.. 当時は「キャッシュは暗号化して持ち、ユーザは何を中継しているか分からないから著作権侵害には当たらない」というような意見(法律家の意見ではないですが)が多かったしなー。

今回はWinnyに特化されていましたが、例えば Softether、 Torなどといった使い方によっては情報漏洩や匿名の犯罪行為を行う事ができるソフトの開発や利用の倫理というところまで一般化した議論を聞きたかったところもあります。

正直なところ、「Winnyと倫理」に関しては、なにか別の論点もあったのではないかともやもやしています...。 もやもやしたまま書いているので、なにかまとまりがないですが。。。

ブロガーの方も多く参加されていたので、参加者のblogを追っていきたいと思います

もちろん初めて聞く用語をいろいろ知ることができたので非常に成果がありました。
<用語メモ>
コミットメント/脱社会性と反社会性/管理可能性/信州大のmarie /ウイニート/


そのほか

高木浩光先生の話はいつも面白いのでファンです。 ちょっととぼけた口調で、鋭い指摘を入れる所など、ビートたけしを彷彿とさせます。超ハイレベルな技術者であり、こういう人文系のシンポジウムでも存在感のある発言。もう無敵ですな

・ 金子さんからサインをもらいました(^^。 今回の目的の半分はこれだったので満足。


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